適応障害

適応障害について

学校や職場、家庭など周囲の環境にうまく適応できず、そのことがストレス因となって、多彩な心身の症状や行動面の変化が現れ、社会生活に支障を来たすようになった状態です。
情動面では抑うつ気分、意欲や集中力の低下、不安や焦り、イライラ、食欲の低下、不眠や過眠、身体面では倦怠感、頭痛、めまい、嘔気、息苦しさ、動悸、震え、発汗、腹痛、下痢、喉の異物感、胸の圧迫感、行動面では遅刻、早退、欠勤、浪費、暴飲暴食などの変化がみられます。

適応障害の疫学

一般人口における有病率は2~8%と推定されていますが信頼できるデータは存在しません。年齢に関係なく発症しますが、青年期では行動面の変化、学童期や老年期では身体症状の訴えがよくみられます。

適応障害の原因

就学や転居、転職、転勤、異動、昇進、過労、人間関係(学校、職場、家庭、恋愛など)、結婚、出産、離婚、身体の病気など、1つまたはいくつかのストレス因によって発症します。

適応障害の診断

明確なストレス因に反応して、その始まりから3か月以内に情動面または行動面の症状が出現することで診断されます。抑うつ気分を伴うもの、不安を伴うもの、両者が混合するもの、素行の障害を伴うもの、情動と素行の障害が混合するもの、特定不能のものに分類されます。さらに、正常な死別反応は除外され、ストレス因やその結果が終結した後、症状は6か月以上持続することはないとされているため、症状の持続期間に応じて、遷延性抑うつ反応や気分変調症などに診断名が変更されることがあります。また、経過中に抑うつエピソード(うつのページもご覧になってください)の基準を満たし、うつ病と診断されることも少なくありません。

適応障害の治療

ストレス因の解消ないし軽減を図ることが最優先で、環境調整を現実的な範囲で行います。具体的には、職場であれば業務量の調整、人事異動などの環境調整によって症状の軽減を図り、症状が強い場合はストレス因から十分に距離を取って休息する必要があるため、休職を検討します。薬物療法としては、症状に合わせて抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬などを使用し、支持的精神療法も併行して行います。
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